魔の川、死の谷、ダーウィンの海…

若い頃、営業に歩いて間もない時、
ある方から言われ、未だに忘れない言葉がある。
「近江商人の精神“三方よし」だ。

世界でも有名な近江商人の活動の理念を表す代表的な言葉で、
「売り手よし、買い手 よし、世間よし」の精神であるらしい。

その当時、メーカーであった私は売り手、その方は卸やだから買い手であったが、
上手に売る自信があるから、
上手に売ることができる商品を作ってほしいと
まさに、魔の川…、死の谷…、ダーウィンの海…が
必要であることを教わった。

研究開発には、三つの壁があると言われる。
聞けば、よくも例えられたものだとしみじみと思う。
アイディアをだし、そのアイディアが機能することを
なるべく確実に確認することを魔の川と言う。
この魔の川を越えると、
今度は死の谷が待ち構えていると言われるようだが…

死の谷とは、確認した機能を商品にするための工夫、
要するに製品化していくとのことらしい。
製品が事業化され、一人歩きできる安定的な商品に
なるためには、実用化研究から製品化までの間の壁。
その製品が市場による淘汰を受けて生存競争から生き残る壁がダーウィンの海。
この三つの壁、難関を越えていくことは非常に難しいとされている…ようだ。

魔の川を越えるには、
アイディアが思った通りに
機能しているかの確認が必要で、
死の谷を越えるには、
消費者にとって魅力的で品質が安定した製品を
現実的な価格で製造できることが必要で、
ダーウィンの海を越えるには、
あらゆる市場で競争に勝つことであると聞く。

当社も常に研究開発していく立場として
痛々しい思いはあるものだから、
この教えは肝に念じている。基本の基本ではあるが、
その基本をつづけることは難しいから、
初心を忘れずに続けることにかけたい…